戯れお題






武の虚しさに
矛を捨て
謀より離れん

務を忘れ
夢に溺れつ
霧に彷徨えば

無に至りて候


矛→槍(武器)
謀→はかる(人の世の常の意)
務→つとめ

戦いの味気なさに
武器を手放し
人の業から離れ
為すべきをせずに
理想郷を探して
あても無く歩いていたら
無我の境地に至った

と、詠んだつもりです。(つ・も・り、です。笑)
制約の中で、ですから
こじつけの感は否めません。





無限

戯れに
果ては見えねど
亦楽し
星に流れて
どこまで行こか






虫たれに
虫けら恋うも
虫ず走ると嫌われて
虫籠に入れられ
虫 封じられ
虫 干され
虫 ピンに留められ
虫の息と成らば
虫送られて候

虫たれが
虫に刺されたと
虫の知らせに
虫 腹に治まりて候


虫たれ→平安時代の女性の笠に付けていた絹。
      ここでは、その中の女性         

幾ら戯れ詩でも
これは非道いですかねぇ。笑





無何有の郷

生けるもの
欲望を抱き
苦労に縛られ
皆 悩まんや

すべて捨て
我は行きたし
無何有の郷へ


無何有の郷(むかうのさと)→ユートピア
お題が「む」ですから…m(_ _)m





貪(むさぼ)る

餓えた狼
明けても暮れても
戯れ求め喰らわんや
貪るほどに喰らわんや

満腹中枢
既に
喰らい尽くした故に
飽くを知らずと
貪らん




槿(むくげ)

花の身で
作法に咲きて
作法に散るや
槿花

そなたの心
我も倣いたきぞ


散り際は桜ばかりではありません。
ムクゲの花に
武士道を見るのは私だけでしょうか。





むく

無垢な君に
向くは我が想いぞ

剥くは我が罪よ
むくつけき心よ

尨犬(むくいぬ)の侮蔑に
無口と成りし身は

無患子(ムクロジ)の下に
骸(むくろ)晒さんや




むし

無私と為り得るなら
無始無終の悟りで
無色界に遊ばんも

無資格の身は
武者と成り 殺めんか
無宿となりて
莚(むしろ)に晒さんか

霧鐘鳴らしたゆえに
毟られし心は
虫の息成るも
無神経の我は

戯れて候


一連目
生身の人間には到達出来ない世界でしょうね。

二連目
莚に晒す→莚に骸を晒すの意

三連目
霧鐘→己の場所を教える





夢幻

戯れど戯れど
我が戯れ果て無くも
夢幻の露よ
朝日に消えんや






娘 心は秋の空とか
娘 一人に婿八人…(多重婚?)
娘 義太夫に節の妖
娘 盛りに老いぼれ眩しや
娘 住まうは箱の中とやら
娘 道成寺に恋の炎よ

娘 師と成りゃ覚悟の三尺台か


三尺台は諸説あるようですけど、私の古い記憶の中では
「三尺余り」が定着していますので「三尺台」を使用しています。
娘師は土蔵破りの事です。