戯れお題
ろ
ろう
桜の花の下
娘の誘いに
蝋の明かり騒がん
老の胸は
浪と なみうち
狼と うろたえるばかりや
ろく
鹿が
六頭来て
肋骨痛いと
鹿皮に
録してのち
麓から山へ
陸屋根に上がり
轆轤首にて見送り候
※
行頭の漢字はすべて「ろく」と読んで下さい。
ろうしょう(じょう)
老松愛でる
老将は
楼上に登り
朗唱に兵らの名を呼ばん
老少不定の現世なれば
籠城の身の哀れに明日の無く
浪嬢の詠う詩歌を
朗誦していざ散らんや
※
浪嬢…女性の吟遊詩人ですかねぇ。
老
老者集いて
老酒酌まん
老嬢傍らに在らば
老手駆使して口説かんも
老眼の哀しさか
老樹抱き寄せ候
六
六塵纏う身は
六界に溺れ
六花に埋まり
六識失うや
六地蔵に救われ
六道歩き
六根清浄願えど
六波羅蜜の遠く
六腑に戯れ候
「戯れお題」
完