戯れお題




ろう

桜の花の下
娘の誘いに
蝋の明かり騒がん

老の胸は
浪と なみうち
狼と うろたえるばかりや




ろく

鹿が
六頭来て

肋骨痛いと
鹿皮に
録してのち
麓から山へ

陸屋根に上がり
轆轤首にて見送り候


行頭の漢字はすべて「ろく」と読んで下さい。



ろうしょう(じょう)

老松愛でる
老将は
楼上に登り
朗唱に兵らの名を呼ばん

老少不定の現世なれば
籠城の身の哀れに明日の無く
浪嬢の詠う詩歌を
朗誦していざ散らんや


浪嬢…女性の吟遊詩人ですかねぇ。







老者集いて
老酒酌まん

老嬢傍らに在らば
老手駆使して口説かんも
老眼の哀しさか
老樹抱き寄せ候






六塵纏う身は
六界に溺れ
六花に埋まり
六識失うや

六地蔵に救われ
六道歩き
六根清浄願えど
六波羅蜜の遠く

六腑に戯れ候




「戯れお題」