頭韻詩 か

過疎に 乾びる 彼の村に
嘗ての 輝き 省みる
帰らぬものか 華燭の 語らい
嫁し行く 彼のひと 可憐な花よ
寡黙の我は 傍ら 叶わずば
かがり火の 陰 隠れて 愛(かな)しむや



沈思

生きるに
意味を求めん
愚かさよ

死に行くに
価値を求めん
傲慢さよ




三考

生くるに
犠牲を如何に想う

恋うるに
歓喜と悲哀の狭間に悩み

死するに
慈悲を知らば安堵せん






私の心を知らず
私の悲しみを知らず
しとしとと…
この胸の奥深くに
ただ
降るのです




晩秋

しじまに
逝く秋送る
森の中

我が苦悩も
連れ行けと願わんや




移ろい

君去る如く
しじまの秋は離れ行き

君去る如く
枝らの想いの凍えて

君去る如く
木枯らしが
空蝉に騒がんぞ




哀秋

想ふに
このしじまが
君の笑顔を呼び起こし
あの遠い秋の日を
紅葉と一緒に
私へと
降らすのです




三迷
  

心貧しければ
欲に惑い
愚かに酔い
恋に迷わんや






雨に凍えるは
温もり失いし
我が心

冬に慄くは
言の葉失くした
我が唇

夜に怯えるは
支え失くした
我が想い

目は面影を失い
口は囁きを忘れ
この手は
闇を弄らんや




旅立ち

木枯らし騒ぐ日は
路傍に眠る紅葉らも
己忘れて舞狂い
終の住処へ
旅立たん

木枯らし眠る夜は
人肌恋し成るものを
君の優しき温もりは
星の空へと
旅立たん




木枯らし 1

木枯らし騒ぐ夜は
想いらの剥ぎ取られ

木枯らし騒ぐ夜は
命すら削り取られ

木枯らし騒ぐ夜は
闇も
引きちぎられるのを恐れて
震えているそうな




木枯らし 2

木枯らし眠る夜は
星の海泳ぐ
我が想い

木枯らし眠る夜は
凍てつく闇に
君の温もり捜すや

木枯らし眠る夜は
落ち葉踏む音が
星の海に沈むそうな




囲炉裏

北風吹く夜は
隙間風を背に受け
囲炉裏の炭火を
摘みながら
昔日に
想いを馳せるのも良いでしょう


北風吹く夜は
徒然の想いたちを
星の煌く遠い宇宙へと
旅立たせ
囲炉裏の傍で
夢をみるのも良いでしょう