冬克春

春来たれど
冬の抗い居れば
花も若芽も
只 震えるや

老陰の手管に
小陽弄ばれ
我も
凍えてあり






生きれど
苦しむだけの迷い道

死すれど
虚しさだけの迷い道

為せるがままに
浮生彷徨う
我は迷い人




眺めりゃ


過つに果ての無く


悔やむに果ての無く

欲望は
留まるを知らず

心は
行方を知らず

己無くした
この身の
只 哀れかな




世相

踊れよ踊れ
どなたの奏でる笛太鼓

腐れよ腐れ
何処の悪魔の囁きぞ

目を失い
耳を失い
肌は摂理の風知らず




移ろい

時移ろえば
我が身と決別せんや
歯も髪も

時移ろえば
我が身に積もるや
齢と悔やみ

時移ろえば
学ぶも多けれど
廃るも亦多く

嗚呼
移ろうは

無慈悲の神の
悪意かや
慈悲の神の
情けかや




沈座

一雨に
枝は春を過ち

一雨に
鹿は角去るを恐れ

一雨に
我は愚かを恥ん

嗚呼
森羅の闇に
万象迷うが如く




時代

季節は
移ろいを忘れ
世は
摂理を失い
我は
人倫に迷い

いったい何処に
行こうというのだ






生きるに
道の多過ぎや



日常


安らかならんと
欲するも
東 南の謀反に
打つ手無し




そら

見上げる海に漂うは
浮世忘れた私の心

柵を捨て
道理を捨て
恋うる君すらも捨て
ただ
漂う私の心

やがて
自由の翼は神と成り
億光年の彼方に遊ばん
私の心よ