LASIK実況生中継編その2

いたいけな子犬(注:非生物)を強くつよく、渾身の力で握り締めたまま…。
それでも否応無く事態は進行していきます。
ああ。残酷な天使のテーゼ。(意味不明)

『右目のマブタを開いたまま固定します。大きく目を開けて下さい』
スタッフの声に、こたつMKKUは、思わず身構えました。
いい加減、硬直しきった体に、さらに力が入ります。(25%増量。当社比)
さぁ、遂に来やがりましたね、目蓋の固定。
何を隠そう、こたつMkUにとって、これこそが、
LASIK手術における最大の懸念材料のひとつだったのです。

LASIK手術中は、どこの医療施設でも、必ず開瞼器を取り付けます。
開瞼器→カイケンキ、と読みます。
術野を確保するため、特殊な専用器具で瞼(まぶた)をこじ開け、そのまま開眼状態で
固定するのです。
そして必要な開度は、上下方向に20mm。
なんだ、たった2センチかと、今モニターの前で呟いた、お目メの大きなアナタ。
あなたは幸せ者です。
20mmという数値。じつはこれ、マイクロケラトームというフラップ作成用の電動メスが走る
レールの幅なのです。
ですので、残念ながら、あらゆる意味で例外はあり得ません。
二重瞼のぱっちりした眼だろうが、針のような一重マブタだろうが、
等しく2cm、目を見開かなくては、以後の手術そのものが成り立たないのです。
藤原紀香さんでも、朝青龍関さんでも、皆さん平等に2センチ開眼です。

さて。問題なのは、こたつMkUさんの目です。
あっ。誤解しないで下さい。こたつMkUの目、細くは無いのですよ?ええもうホントに。
幼少の頃、おばあちゃんに、切れ長のカワイイめんめ、と誉められた事だってあるのです。
このように、決して細くは無いのですが…。
どうヒイキメに見ても、大きいとは言えません。(どっちやねん)

無論、この際、多少の痛みは覚悟の上です。
無理やりにでも目一杯こじ開けてもらって一向に差し支え無いですが…。
心配な点がただひとつ。場合によっては目尻を切開するケースもある、との情報が、
報道センターに飛び込んで来ているのです。
切開ですよ、セッカイ!
軽く考えてはいけません。
見開いて伸びきった,震える目尻を、メスで、ちょん、と。あるいはぶちっ、ざくっと切るのです。
ワタシも漢です。漢と書いてオトコと読みます。
万難を排し困難に立ち向かう決意は既に固めています。
固めてはいますが、出来れば、切開だけは避けたいのが人情ってもんです。
不幸中の幸い。顔は滅菌シートに覆われていて、外からは見えません。
さあ、今こそ、人相が変るくらい思いっっっきり目を見開きましょう。
なぜか鼻の下も伸びますが、この際です。気にしません。

結論から言いますと、幸いにも目尻の切開は免れました。
これも全て、こたつMkUの努力の賜物です。
安堵の汗が背中を濡らします。
ただし、開瞼中は、相変わらず痛いことはイタイです。
しかも、どなたにとっても、これまであまり経験したことの無い種類の痛みだろうとは思います。
と言いますのも、開瞼器の作用点(もしくは支点)が、目蓋の内側なのです。
…あー。分かりづらいですね。
つまり、例えば。
右手の人差し指で、あっかんべーをすると、右目の下目蓋が扇状に引き下げられます。
要するに,マブタの裏が見える状態です。
白く薄い表面に赤い毛細血管が幾重にも走っているのが観察できます。
それでは、左手の人差し指で、開いてる目蓋の裏側を触ってみましょう。
はい。ぐりぐり。ぴたぴた。
―って言われても、実行できる蛮勇の持ち主は、100人に1人もいないでしょう。
この、考えただけでもヒリヒリする目蓋の裏に、金属製の硬く冷たい支柱が押し当てられ、
あまつさえその支柱を梃とし、まぶたが強引に押し開けられるのです。あ、ぐりぐり。
しかし。ご安心下さい。
そんな瑣末な痛みなど、味わっている暇は皆無です。
これからです。
これからがいよいよ、LASIK最終章への突入です。

ガクン、と手術台が揺れました。
こたつMkUの身体が、右手方向へスライドして行きます。
保護シート越しの両眼に映るのは、鮮やかな真紅と、そして緑の光点。
そうです。ニデック5000。
田内眼科の誇るエキシマレーザー装置の登場です。





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