エピローグ
エピローグ
右眼が終われば、次は左眼です。トイレ休憩はありません。
まるで外科手術のように、スケジュールはちゃっちゃと進行して行きます。(注:LASIKは外科手術です)
幸い左眼も、右眼同様順調に終了しました。
所要時間は10分に満たない程度です。
トータルの手術時間、25分前後。終わってみれば、短かったような、十分過ぎる程永いような…。
手術が終わって真っ先に気が付いた事があります。
それは。目が開けられない!
玉ねぎのみじん切りを両目に詰め込んだこと、ありますか?
おおっ、ありますか!ではきっと、そんな痛みです。
もう沁みてしみてシミて。思い出しただけでも涙が止まりません。
手術台から降りるのも、心の支えだった子犬くん(ぬいぐるみ)をスタッフの方に返却するのも、
完全に手探り足探り状態です。
移動の際は、勇気を振り絞り、コンマ5秒程度微かに薄目を開け、
マツゲの間から素早く足元と方向を確認し、すぐさま閉じます。
手術直後、オペ室出口で両眼の診察があるのですが、強い光に向かって眼を開けるのは、
本当に至難の業でした。
粘着マットの手前でスリッパ履き替えるのも、手助けされながらやっとの事。
スタッフの方に手を引かれながら、懐かしの休憩室にようやく生還を果たしました。
今後の予定は、約30分間休息し、その後1階へ降りて、田内先生の診察を受けます。
階段が上手く降りられるか、マジで不安が募ります。
さて。
椅子に座って、ものの五分で痛みに耐え兼ねました。
ヘタレ?根性無し? ええい、何とでも言ってくれ!
痛みに弱いんです。イタイの嫌いなんだよおぉっ!
で、スタッフの方に、どうしても我慢出来ないなら服用してと手渡されていた、
頓服の袋をさっさと開けます。
最強の切り札、頼みの綱の中に入っていたのは、ボルタレン(鎮痛剤)が1錠のみ。
あらまぁ…。みなさん、痛みにお強いのですねぇ…。
ボルタレンなら、こたつMkUの持って来たカバンの中に、半シート程ころがっています。
取り合えず、もらった1錠を服用しますが、思った通りたいして効きません。
しかしまぁ、角膜を切って、その傷口をレーザーで焼いたのですから、
ある程度の痛みは、あって当然です。
事前のリサーチから判断すれば、今夜一晩で改善する可能性が高いです。
心配はいらないでしょう。
一階診察室での検査でも、特に異常は見当たりませんでした。
少なくとも現時点では、LASIK手術成功です。
術後45分で行った視力検査の結果は、右0.8左1.0。目標に近い値が出ています。
ただ、まともに目が開けられない状況ですので、よく見える、と言った印象はありません。
視力も、暫くの間はかなり変動するとの事です。
受付で、抗生剤、抗菌剤、1回使い切り、計3種類の目薬と保護メガネを受け取り、
本日の全日程を終了しました。
田内眼科を出たのは、まだまだ日の高い、夏の午後5時でした。
明日朝9:00に再度の診察があるため、今夜は近くのホテルへ宿泊します。
田内眼科から目的のホテルまでは、歩いて10分程度。
一番手近な宿泊施設をネットで予約したのですが、いかんせん、LASIK手術を甘く見すぎてました。
今のこたつMkUにとって徒歩10分は、肉体(眼球)的精神的に、かなり厳しい距離です。
ただ、わざわざタクシーを呼ぶのは、あまりに近過ぎて気が引けます。
ああ、やんぬるかな。
結局、こたつMkUは試練の道を選びました。タクシー無しです。
自動ドアの向こうへ足を踏み出します。
深夜、痛みに眠れずベットから起き出しました。
保護メガネを外し、涙に潤む眼を無理やり開けてみます。
ホテル6階の窓から眺める夜景。
それは、息を呑むほど美しく、哀しい程に印象的でした。
トップページへ戻る